こんにちは。
病院や介護施設、在宅まで関わることの多い病気、パーキンソン病。
徐々に体が動きにくくなり、転倒が増えたり、歩けなくなるこの病気は厄介な病気です。
しかし、スイスの研究で30年近くパーキンソン病を患っている方が歩けるようになったというニュースがありました。
●脊髄電気刺激
今回出された研究は「パーキンソン病歴約30年の男性患者の体内に電極を埋め込み、脊髄に電気刺激を与えることでほぼ普通に歩けるようになった」というもの。
スイスの研究結果が「Nature Medicine」という雑誌に掲載されました。
30年近くパーキンソン病を患っている62歳の男性が今回の研究の対象者で、ご本人によると「すくみ足がひどい。障害物があったり、誰かが不意に目の前を横切ったりすると、足がすくんで転んでしまう」という症状でした。
今回の治療で行われたのは脊髄電気刺激。
脊髄に沿って、複数の要所に神経プロテーゼの複雑な電極システムを埋め込みます。
その後、歩行を促すために電気刺激を送り、患者の望む動きになるよう刺激のタイミングを適正化したそうです。
対象者は2年近く、この神経プロテーゼを1日約8時間使用しました。
●結果
2年近くの治療後、だいぶ楽に歩けるようになり旅行を計画するまでに改善。
男性は「今はもう、ある位置から次の位置までどうやって行くか、心配せずに歩くことができる。散歩でも買い物でも、どこでも好きなところへ自分で行ける」と話しています。
この治療は以前にもされており、前回は「半身がまひしていた患者の歩行を回復」させました。
研究をしている外科医の先生は「脚に装着した小型センサーで、残存する動き、つまりさらなる歩行の意思の測定を試みた。これによって患者が歩きたいのか、停止したいのかを知り、それに応じて刺激を調整することができる」と改善の過程について話しています。
では、今後はどうなっていくのでしょうか?
●今後
現在、この研究は6人のパーキンソン病患者に拡大して研究を続けています。
研究結果が軌道に乗れば、将来的な商品化を想定しているとのことでいつかこの研究からなにかが生まれるかもしれません。
今までのパーキンソン病の研究では脳への電気刺激により、症状を改善させるものが多く報告されてきました。
ですが、今回はまた違った方向からのアプローチです。
将来的にどの治療法がどのようなタイプの方に効いてくるのかは分かりませんが、いつかパーキンソン病が治る病に変わることを願ってやみません。
それではまた次回の記事でお会いしましょう。