こんにちは。
連合反応の強い方の場合、痙性への影響を考えて、実施しない方もいるのではないでしょうか?
今回、強化訓練は痙性にどう影響を与えるのかについての文献をご紹介します。
●文献
今回の文献はLouise Ada , Simone Dorsch, Colleen G Canningらが著書の
「Strengthening interventions increase strength and improve activity after stroke(筋力強化の介入は、脳卒中後の筋力を高め、活動性を向上させる)」というものです。
この研究では、
①脳卒中後の筋力訓練により、筋力が上がるのか
②痙性の増悪はないか
③活動性の向上があるのか
という3点について確認しています。
この文献で定義された筋力訓練は4つ。
「バイオフィードバック、電気刺激、筋再教育、抵抗運動」を指します。
結果はこれらで見ています。
痙性:修正Ashworthスケール,Pendulumテストなど。
活動量:10m歩行テストやBox and Blockテスト(上肢機能評価)、Barthel IndexなどのADL評価。
●結果
結果は「すべての脳卒中患者において、筋力と活動性の両方に小さな正の効果があった。一方で痙性に対する効果はほとんどなかった」としています。
つまり、筋力と活動性には効果があったが、痙性が亢進し、ADLに悪影響を及ぼしたことはなかったとされています。
結論でも「脳卒中後のリハビリテーションの一環として筋力強化プログラムを行うべきであることを示唆している」と述べられています。
文献によっては痙性を不用意に増悪させてしまう可能性があると思われることがある筋力訓練ですが、研究結果からは異なる見解が生まれていました。
●筋力訓練は行うべき?
「行ってもよい」ということが結論になります。
ただし、今回の研究では筋力訓練と一口に言っても、バイオフィードバック、電気刺激、筋再教育、抵抗運動など様々なことを行っています。
また、どの時期にどのような頻度で行ったのか、各患者に画一的に行ったのかは分かりません。
筋力訓練というと抵抗運動を思い浮かべがちですが、決してそれだけの介入ではありませんでした。
今回の研究からは「脳卒中後の筋力訓練=悪ではない」ということが分かります。
ただし、効果を出すには我々臨床家の動作分析力などが問われると思います。
何が足りないからどうすべきなのかを適応を見極められないと効果は薄くなってしまうかもしれません。
適応を見定める能力を養っていきたいですね。
それではまた次回の記事でお会いしましょう。