作業療法つぶやきブログ

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現役作業療法士(OT)のブログ。不定期週2回12時更新。カテゴリー一覧はスマホの方はページ下部へどうぞ。

【リハビリ】腱への刺激で関節運動が想起される~触り方で反応が変わるかも~

こんにちは。

 

今回は「Sensory effects of pulling or vibrating exposed tendons in man(人の腱を引っ張ったり、振動させたりすることによる感覚の変化)」をご紹介します。

文献から日々の臨床で考えていく必要があることについても取り上げます。

 

●研究内容

blue and brown ceramic vase

4人の被検者の腱を局所麻酔下にて露出させ、そこに伸長刺激を与えました。

そうした際に、腱を伸長しただけにも関わらず、被検者は「関節が動いている」と錯覚しています。

このように腱からの刺激に対して、人間は動かされているような知覚を得ます。

脳梗塞後の身体などはこの知覚することがうまくいかず、混乱することがあるので、どう感じてもらうかは重要になります。

 

●研究結果から分かること

Child Stepping on Macaroni

腱が伸長されるような求心性の刺激は筋紡錘などから意識に上ることなく、脳に入ってきます。

脳梗塞後などであれば、筋緊張が不均衡になりやすいです。

また、それに伴い、代償動作が出現し、より不均衡が助長される場合があります。

こうなると脳は身体の一部の情報を強く受け取り、自分が捉えやすい情報を元に運動を繰り出します。

それが問題のない動きであればいいのですが、身体図式などが崩れている場合にはかなり偏った動きになります。

そうすると腰痛や変形性膝関節症など二次的な障害にも繋がってきます。

そうならないためにも、腱などから来る求心性の情報をどう捉えてもらうかが重要になってきます。

  

●私たちセラピストがしていかなければならないことは

 私たちは偏った情報を修正し、必要な情報を入力して患者さんや利用者さんの身体図式や動きを変えていく必要があります。

例えば、足趾が曲がるクロートゥ(Claw toe)の方がいたとします。

 出典:https://rehabix-okinawa.com/blg/2020/06/22/claw-toe/

 

このような場合、なぜ指が曲がるのかについて考えないといけません。

単純にストレッチしているだけでな解決にならないことが多いです。

 

例えば、麻痺側の足部外在筋の緊張が高く、そこの知覚情報が強く入ってきているかもしれません。

そうすると、そこで情報を拾うのが、一番簡単であるため、より拾いやすい部分を強化しようとします。

そうすると更にクロートゥが増強されます。

この状態でストレッチで筋緊張を落としたとしても患者さんや利用者さんは情報を拾うことができなくなり、より不安定になってしまうことが考えられます。

 

そこで、こういった場合は徒手などにて足底へ感覚刺激を行います。

感覚刺激後に足底を用いて動けるようになれば、クロートゥを抑えた状態での立ち上がりなどを練習します。

そこで足底などからの求心性の情報を頭で統合できて初めて足部全体を使えて、クロートゥも抑え込んでいけます。

 

このように触り方によって過剰な筋緊張を抑制することで腱からの情報をコントロールし、正しい運動方向に導くことができます。

知覚情報を統合させていくことが大切です。

何をするにしてもなぜそうなっているのか、動作分析をしながら行うのも大切になりますね。

少しずつでも患者さんや利用者さんがより良い生活が送れるように支援していきましょう!

 

ではでは。