作業療法つぶやきブログ

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現役作業療法士(OT)のブログ。不定期週2回12時更新。カテゴリー一覧はスマホの方はページ下部へどうぞ。

【文献】筋肥大には運動負荷は変わりなし

こんにちは。

 

リハビリの場面でよく行われる筋トレ。

どのような運動を行うかは現場のさじ加減に任されることが多いです。

そんな中、負荷量による筋肥大の変化に着目した文献がありました。

今回はそちらをご紹介します。

 

●文献

今回ご紹介するのは「Muscle hypertrophy and strength gains after resistance training with different volume-matched loads: a systematic review and meta-analysis(異なる負荷量によるレジスタンストレーニング後の筋肥大と筋力向上:系統的レビューとメタ分析)」という2021年の文献。

 

この文献では低い運動強度の運動と高い運動強度の運動の筋肥大と筋力向上を比較しました。

運動強度はRMを目安に決められており、RM(repetition maximum)とはある決まった重さに対して何回反復して関節運動を行うことができるかを言います。

1回が限界の負荷を1RM、最高5回繰り返せる負荷を5RMとなります。

 

研究では低負荷(1RMの30%~59%、中負荷(1RMの60%~79%)、高負荷(1RMの80%以上)と、総負荷量(セット数×反復回数×重量)を比較しました。

 

●結果

結果は高負荷でのトレーニングは、低負荷と比較して、1RM筋力においてより大きな向上をもたらしました。

瞬発力を上げるには、高負荷が良いようです。

 

しかし、筋断面積である筋肥大は、負荷の大きさに関係なく、負荷量が条件間で等しい場合でも同様となりました。

筋肉を太くするには負荷量ではなく、どれだけ運動したかが大切になるようです。

 

この結果はこの研究だけでなく、「Strength and Hypertrophy Adaptations Between Low- vs. High-Load Resistance Training: A Systematic Review and Meta-analysis」という文献でも「低負荷と高負荷の筋力トレーニング間の筋肥大の測定値の変化は、条件間で類似していた」とされており、同様の結果が出ています。

 

また、「Low-Load High Volume Resistance Exercise Stimulates Muscle Protein Synthesis More Than High-Load Low Volume Resistance Exercise in Young Men」という文献でも「強度が同じでも、セット数を多く行い、総負荷量を高めることで筋肥大の効果が増大する可能性がある」と示唆されました。

 

●トレーニングはどうする?

バーベルを持ち上げようとしている人

ある研究では「さまざまな刺激を与えるという意味では、両者を混合するのがベストである。この場合、一回のトレーニングで高重量と低重量の両方をやるのではなく、高重量でトレーニングする日と低重量でトレーニングする日を別々にやるようにしたほうが良い。そのほうが新鮮な刺激を与えられるし、関節を休めることにもつながってくる」と言われています。

 

高齢者のリハビリで行うトレーニングは若い人のように高負荷をどんどんとやるのは健康上のリスクがある場合があります。

しかし、各個人の負荷をうまく調整すれば、最大限のいい結果を引き出していけるかもしれませんね。

 

それではまた次回の記事でお会いしましょう。