作業療法つぶやきブログ

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現役作業療法士(OT)のブログ。不定期週2回12時更新。カテゴリー一覧はスマホの方はページ下部へどうぞ。

【リハビリ】ダイナぺニアご存じですか?

こんにちは。

 

高齢者の筋量低下の場面で用いられるサルコペニア

似たような場面で使用されるダイナペニアはご存知でしょうか?

今回はダイナペニアについて取り上げます。

 

●ダイアぺニアとは

ダイアぺニアとは筋肉量の減少はないのに、筋力が低下した状態を指します。

筋肉量に変化がない分、握力や立ち上がり、歩行能力など、筋力を評価していかないといけません。

 

似たような意味があるのがサルコペニア

サルコペニアとは筋肉量が減少し、筋力や身体機能が低下した状態

 

サルコペニアは筋肉量と筋力が低下しているのに対し、ダイアぺニアは筋量は正常で、筋力が低下しています。

この状態からダイアぺニアは筋肉の質が低下しているとも言い換えられ、筋量が落ちていないため、発見しにくいとされます。

 

では、この違いはどこから生まれるのでしょうか。

 

サルコペニアとの違いはなぜ生まれる

それを解説したのが、Morley JEらの2016年の論文。

ここでは骨格筋量と筋力のそれぞれに関連する因子は明らかに異なるとされました。

 

例えば、成長ホルモンやIGF-1量の減少は、骨格筋量の減少に影響しますが、筋力低下には関与しません。

一方、インスリン抵抗性や血清ビタミンD濃度は筋力低下に影響しますが、骨格筋量の減少には関与しません。

 

このように筋力と筋肉量はそれぞれ独立した因子が関与しており、この違いにより、サルコペニアとダイアぺニアという異なる状態が生まれます。

 

●死亡率が高い

ある研究では「筋力低下と身体機能障害は90%程度の論文で認められたが、骨格筋量と身体機能障害は35%程度の論文でしか認められなかった」としています。

つなり筋力低下が起こるダイアぺニアの方が死亡率が高いということです。

 

また、筋力低下は骨格筋量の低下よりも早期に生じることが言われており、体重の増減に関わらず、骨格筋量と筋力の間には年々差が生じていくそうです。

しかも、先に上げた通り、筋力と筋肉量はそれぞれが独立した因子は関与しました。

 

つまり、骨格筋量の維持は加齢に伴う筋力低下を予防できない可能性があります。

 

では、ダイアぺニア予防はどうすれば、良いかについては、これも先にあげた、身体機能評価が重要になります。

握力、立ち上がり、歩行能力、ADL、いずれもリハ職が必ず見る評価。

私たちの普段の臨床が患者さんや利用者さんの死亡率を下げる一助になるかもしれません。

 

いかがだったでしょうか?

似たような言葉にも感じたかもしれませんが、実際は違います。

違いを理解して患者さん、利用者さん、地域の高齢な方が直面する課題を考えていきたいですね。

 

 

それではまた次回の記事でお会いしましょう。