こんにちは。
かつて操法大会の練習に耐えかねて死を選んだ団員がいたそうです。
今回はそれについて取り上げます。
●静岡県袋井市消防団
入団2年目の33歳の男性団員が6月下旬の「消防操法査閲大会」の2日前に自殺。
この衝撃のニュースは2014年7月に報道され、静岡市消防団清水第13分団はFacebookにて「死亡した消防団員選手のご冥福をお祈りします。操法は大切。でも命はもっと大切」と見出しをつけてこのことを報告しました。
亡くなった男性団員はポンプ車を操作する選手として出場予定だったということで、残された遺書には、技術の未熟さをわびているとみられる文言があったそうです。
この出来事により、2日後に予定されていた操法大会は中止となりました。
また、袋井市では整列や行進など規律の正確さを競う「訓練礼式大会」があり、2016年で廃止予定でしたが、この自殺の影響を受けて、1年前倒しの2015年から廃止が決定したそうです。
●他の団員は操法大会をどう思っている?
この出来事のあと、市が全分団員593人にアンケートを行うと、大会を望まない意見が操法、礼式いずれも6割を超えました。
多くの団員が大会を不要と判断しています。
アンケートでは操法大会についても団員から「練習は体力的に厳しい」、「順位をつけなくてもいい」などの操法大会について否定的な意見が寄せられたそうです。
しかし、市は消火活動の基礎を身に付ける意義を重視し、団員が亡くなった翌年の2015年は小型ポンプ操法大会を実施しました。
その時の様子はyoutubeに残っています。
袋井市消防団 小型ポンプ操法の部 第35回静岡県消防操法大会 - YouTube
当時の団長は取材に対し「二度と同じ事が起こらないよう、団員を守らなければならない。改めて一からやり直す」と話しました。
礼式大会はその後も廃止され続けているのでしょうが、2023年現在、操法大会はどうなっているのでしょうか?
2023年7月上旬時点で情報は分かっていませんが、コロナ後に同じ形で再開していないことを願うばかりです。
●見直しはごく一部
自殺者を出した袋井市では操法大会の見直しがされたかもしれません。
しかし、全国で見るとそれはごく一部。
某消防団のホームぺージを見ると
「○○市消防操法大会は、消防団員の消防技術の向上、士気の高揚及び消防活動の充実を図るとともに、日頃の訓練により培った消防操法技術を競い合うことを目的に隔年で実施しており、令和3年度は新型コロナウイルス感染症の影響で中止となったため、4年ぶりの開催となります。
消防団員は、普段自分の仕事を行いながら、休日や仕事終わりの時間を使い、地域を守るために様々な訓練を行っています。
その日々の訓練の成果を是非ご覧ください。」
とうたっていました。
団員の汗水たらしての早朝や休みを削る練習を配慮しているとは思えない文言です。
全国的にまだまだ取り組みは進んでいません。
いかがだったでしょうか?
自ら死を選ぶことは周りにとっても非常に悲しいこと。
ましてそれが本職でもないことの大会ではより辛いものがあります。
自ら死を選ぶような悪しき慣習、もう終わりにしませんか?
「でも命はもっと大切」
本当にそう思うならもっと考えるべきことがあるはずです。
それではまた次回の記事でお会いしましょう。