作業療法つぶやきブログ

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現役作業療法士(OT)のブログ。不定期週2回12時更新。カテゴリー一覧はスマホの方はページ下部へどうぞ。

【リハビリ】脳卒中後、こけやすい人の特徴は?

こんにちは。

 

脳卒中後の方の多くが問題となることがある転倒。

セラピストは転倒して怪我をすることを防ぐために頭を悩ませます。

今回、こけやすい人の特徴の文献がありましたので、取り上げます。

 

●文献

今回ご紹介するのは「Cumulative Risk And Associated Factors For Fall-Related Fractures In Stroke Survivors After Discharge From Rehabilitation Wards: A Retrospective Study With A 6-Year Follow-Up(リハビリテーション病棟退院後の脳卒中生存者における転倒関連骨折の累積リスクと関連因子: 6年間の追跡調査による振り返り研究)」。

 

リハビリテーション病院を退院した脳卒中患者786人を対象にカプラン・マイヤー法を用いた質問紙法を用いて研究しています。

カプラン・マイヤー法とは「イベントが発生するまでの時間を分析する生存時間分析の手法」であり、今回は退院後、転倒するまでの時間を計測しています。

 

男女での比較やSIASスコアで特にこけやすい人を分析していました。

SIASについては、上肢(0~10点)と下肢(0~15点)の合計点を算出し、

上肢:0~1点、2~3点、4~5点、6~7点、8~9点、10点(麻痺なし)

下肢:0~2点、3~5点、6~8点、9~11点、12~14点、15点(麻痺なし)

というような5つの重症度カテゴリーに分類しています。

 

●結果

退院後1年、2年、3年、4年、5年における転倒関連骨折の累積発生率と年間発生率はこのようになったようです。

前の数字が累積発生率、カッコ内は年間発生率を指します。

1年:4.2(4.2)%、2年:7.9(3.7)%、3年:10.8(2.9)%、

4年:12.5(1.7)%、5年:13.7(1.2)%

 

また、股関節周囲の骨折が全体の40%近く、上腕近位部骨折、手首の骨折がそれぞれ10%強で好発部位として続いています。

 

また、骨折は女性で有意に多く、中等度下肢麻痺(SIAS下肢スコア合計が6~11点)が転倒が多く見られました。

 

●研究から言えること

結果から言えるのは転倒は発症後間もない頃が多いということ。

年数経過とともに生活様式になれるせいか、徐々に転倒は減少します。

 

また、女性の方が骨粗鬆症などになりやすく、男性より骨折リスクがありました。

 

他に中等度麻痺が一番転倒リスクがありました。

これは軽度麻痺であれば、動くことで骨密度が高く、転倒リスクも少ないことが要因として考えられます。

また、重度麻痺であれば、動くことがままならなくなることもあるため、転倒リスクや受傷リスクは減少したようです。

 

いかがだったでしょうか?

こうしたことを参考にしながら、リスクの高い人を把握し、こけて怪我をして身体が弱るといったことがないように予防をしていきましょう。

難しい課題ですが、各ケースごとに考えていきたいですね。

 

それではまた次回の記事でお会いしましょう。