こんにちは。
3月13日からマスク着用場面が緩められることが決まりました。
昨今当たり前になったマスクですが、コロナウイルスに対して効果はどうだったのでしょうか?
今回はとある文献をご紹介します。
●文献
今回の文献は「Physical interventions to interrupt or reduce the spread of respiratory viruses(呼吸器系ウイルスの拡散を阻止または低減するための物理的介入法)」。
これは2020年に出されたコクランレビューの更新版で2023年1月に出されました。
厚労省によるとコクランレビューとは「医学論文のシステマティック・レビューを行なう国際的団体のコクランが作成している、質の高いシステマティック・レビューとして定評のあるもの」です。
抗ウイルス薬やワクチンは、コロナウイルスなどの蔓延を防ぐには不十分である可能性があるため、他の方法で有効なものはないのかを調べた研究でした。
78件のRCT(ランダム化比較試験、根拠となる効果を最も正確に評価できる手法)という大規模データをを基に作成されています。
●内容
研究タイトルにある物理的介入とは「入国港でのスクリーニング、隔離、物理的距離の確保、個人防護、手指衛生、フェイスマスク、眼鏡、うがい」。
今までコロナウイルス感染対策に用いられてきたものです。
ガウンと手袋、顔面シールド、入国港でのスクリーニングに対するRCTはほとんどなく、主に検証されたものはマスクの有無と手指衛生の有無でした。
●マスクの効果
まず、マスクの効果では地域社会で過ごすにおいてインフルエンザやコロナウイルスに対して、ほとんど効果なしという結果に終わりました。
また、N95マスクについてもサージカルマスクより効果が高い可能性があるという言及にとどまっています。
マスクをつけることによるデメリットは感染対策としてありませんが、N95マスクはつけるのが不快というデータが出ています。
●手指衛生の効果
手指衛生は手指衛生群では発症した人が11~14%減少したという研究があり、データとしても一定の効果はあるようです。
デメリットもなく、研究では有効性が示されていました。
●注意点
結果に対する注意点としてはバイアス(偏り)があること。
コロナが起こってから大規模な研究は行われましたが、国による差や年齢の偏りがある研究が多く、100%全ての事象にマスクや手指衛生の効果が研究通りに当てはまることはありません。
いかがだったでしょうか?
マスクは反対派と賛成派がいるので、一概にこの文献だけで不用とは判断できません。
コクランレビューでも「複数の環境と集団におけるこれらの介入の有効性と大規模で十分に設計されたRCTが必要」と締めくくられています。
今のところ「マスクの効果は分からないが、手洗いは効果がありそう。どちらも行ってもデメリットはない」
このような結論になりそうです。
皆さんはこのデータを基にどう判断していきますか?
それではまた次回の記事でお会いしましょう。