こんにちは。
東日本大震災からまもなく12年。
東日本大震災では大地震や津波により、多くの消防団員が殉職しました。
未曾有の大災害はいつ起こるかわかりません。
そこで大災害に向けて消防団を含めて市の職員らが連携した訓練を行ったところがありました。
●近畿大学生物理工学部の取り組み
出典:https://www.kindai.ac.jp/about-kindai/campus-guide/wakayama/
近畿大学和歌山キャンパスでは2023年2月25日に直下型地震の発生を想定し、訓練を行いました。
訓練参加者はこのようになっています。
・近畿大学学生消防団員 19名
・和歌山県警機動隊、航空隊(ヘリコプター)、岩出警察署 計9名
・那賀消防組合中消防署 9名
・紀の川市危機管理消防課、紀の川市消防団本部女性分団 計14名
警察や市の職員、消防署に学生消防団、女性消防団と多くの関係者が集まっての訓練となっています。
目的は関係機関との連携強化、災害に対する意識の向上、防災対策の強化。
近畿大学では「紀の川市消防団本部近畿大学部」という学生消防団ができているようで、その訓練の一環として県警などと連携して訓練を行っているようです。
では、肝心の内容はどのようになっているのでしょうか?
●訓練内容
地震の想定は中央構造線断層帯で直下型地震が発生し、和歌山キャンパスにおいて震度6強の揺れが約10秒間続いたとしたもの。
キャンパス内の火災、車両内での要救助者発生を想定した訓練です。
細かい内容はこのようになっています。
10:00 地震発生(震度6強・約10秒間)
情報収集訓練:紀の川市危機管理消防課によるドローンを用いた被災情報収集
10:05 放水訓練:学生消防団・紀の川市危機管理消防課による放水訓練
10:15 搬送訓練:県警航空隊・中消防署救助隊のヘリによる消防救助隊員等搬送
10:25 救助訓練:中消防署救助隊による被災車両内から要救助者を救助
10:55 救助訓練:県警航空隊員らによるヘリコプターを使用したホイスト救助訓練
11:05 放水訓練:紀の川市消防団女性分団による放水訓練
11:15 那賀消防組合中消防署長による講評、近畿大学生物理工学部長による挨拶
機動隊指揮官車、航空隊ヘリコプター、救助工作車等の見学
短時間の間に数多くの内容をこなし、より実践的な内容になっています。
現役消防団は参加しない訓練のようですが、会社員や自営業の人が入っている消防団の訓練と比べ、どうでしょうか。
●消防団の訓練と比べてどうか
良い点
①実践的
具体的な状況が示され、実際に起こりうる状況が作られているため実践的な訓練となっています。
消防団の訓練は操法大会のように「実践」ではなく、「競技」として出来上がっている訓練があります。
そうした訓練と比べ、災害時には役に立つ訓練になるでしょう。
②各所と連携できる
警察や消防署といったところと同時に訓練できる機会は少ないです。
消防団でも式典に警察や消防幹部は来ていても合同で訓練をするところはほとんどないのではないでしょうか。
顔が見えれば、実際の現場でも動きやすくなるかもしれませんし、連携強化ができるのは大きなメリットの一つです。
悪い点
①事前練習が多い可能性がある
一方、悪い点は事前練習が多い可能性があること。
操法大会同様に多くの訓練をしないと短時間でやるべきことを遂行できないかもしれません。
事前練習が多いと負担も大きくなりますし、大きなデメリットになるでしょう。
②式典化しているかも
初めての試みの時は訓練色が強くても段々とパターン化され、式典化していく可能性があります。
出初式のような訓練という名の式典は団員の負担も大きいです。
きちんと訓練として行われているのか注意してみていく必要はあるでしょう。
いかがだったでしょうか?
南海トラフ巨大地震も今後起こる可能性があり、大災害に備えた訓練はもはや必須なのかもしれません。
消防団も多くの不要な訓練や式典を見直し実用的な訓練に変えていかないといかない時期ですね。
それではまた次回の記事でお会いしましょう。