こんにちは。
今日は東日本大震災から節目の10年です。
同じような災害があった時に東日本大震災の教訓を活かしていく必要があります。
そこで、今回は東日本大震災での消防団の被害やどのような場面で危険があったのか、ご紹介したいと思います。
●消防団の人的被害・年代
特に人的被害の大きかった岩手、宮城、福島の三県で見ていきます。
まず、全体の死者数(震災関連死を含めない)は
・岩手県:4675人
・宮城県:9543人
・福島県:1614人
大変多くの方が震災の被害にあわれました。
三県の消防団の殉職者数は
・岩手県:119人
・宮城県:108人
・福島県:27人
多くの団員が殉職されました。
尚、全体の死者数は2020年9月、消防団の殉職者数は2014年9月と差があるため、消防団の被害は更に多くなっているかもしれません。
殉職した年代では
・20代:8.1%
・30代:28.3%
・40代:32.3%
・50代:17.7%
・60代:12.1%
・70代:1.5%
となっており、団活動にも慣れ、中心的に動ける30代~40代の方が犠牲者の約6割を占めています。
●殉職した消防団員の活動状況
どのような活動中に殉職したかというと約6割の団員が
「避難誘導」
この活動中に命を落としました。
凄まじい状況の中、人命救助に当たっていた団員が多く命を落としています。
次いで、出動途上(16.2%)、自身の避難(12.7%)となっています。
勇気ある団員が責務を果たそうとしていたことが分かります。
水門の閉鎖中に亡くなった団員もいます。
●具体的な場面
どのような場面で亡くなったのか5つの具体例をあげます。
具体例① 地域住民と避難中に被災
分団本部に参集後、別の屯所へ向かう途中で避難中の高齢者2人と遭遇し、1人を背中に背負い、1人を抱えながら避難していたところ、津波に巻き込まれ死亡した。(岩手県陸前高田市)
具体例②避難後の救助に出た時に被災
一度は建物3階へ避難したが、逃げ遅れている住民を発見。避難介助のため路上に戻り、津波に巻き込まれ死亡した。(岩手県陸前高田市)
具体例③説得中に被災
○災害時要援護者の避難や避難しない住民の説得にあたっていた4人が津波に巻き込まれ死亡した。(宮城県岩沼市)
具体例④車両活動中に被災
海岸近くにいる住民を避難所である小学校へと消防団車両に乗せ往復し、3度目に校舎の昇降口に着いたところで津波に巻き込まれた。同乗していた住民は校舎内に避難したが、当団員は死亡した。(宮城県仙台市)
具体例⑤救助活動中に被災
○避難広報中に寝たきり老人宅から助けを求められ、避難介助しているとき、津波に巻き込まれ死亡した。(宮城県仙台市)
具体例を見ていても「津波」による被害が非常に多いです。
しかし、救助活動中や住民の説得中に建物が倒壊したりすれば、津波はなくとも、犠牲者は出ます。
多くの方が犠牲となった震災から10年が経とうとしています。
消防団の活動はこの10年で変わりましたか?
もし変わっていないのであれば、この大災害を経験したにも関わらず、組織が何も変わっていないということです。
今日、マグニチュード9.0の大地震が起きたとき、どのように動けば良いか分かりますか?
想定やその想定に基づいた訓練は行われていますか?
やみくもに助けに行けば、犠牲者を無駄に増やすかもしれません。
ですが、一人でも多くの命を救うには消防団の力も必要です。
この犠牲となった尊い消防団員の命から学びを得て、次の大災害では犠牲者を少なくする。
それが必要です。
私たち消防団に必要な力は通常点検で動き回ることや、操法大会の整列で何時間も練習することではありません。
災害に対する訓練も火災が起きた時の訓練と同じくらい大切ではないのでしょうか?
「ひどい災害だったけど、少しでも多くの命が助かった。」
不要な訓練を亡くし、後でこう言える訓練をもっと考えていってもらいたいですね。
ではでは。