こんにちは。
手間隙かかる学会発表。
大変な思いをした方もいるかと思いますが、重要視されることも多いです。
そこで今回は学会発表はなぜ大切なのか、島根県理学療法士協会のデータを中心に取り上げます。
●研究の階層
出典:https://mizoclinic.tokyo/staff/6873/
研究のエビデンスレベルは研究内容で変わり、エビデンスは「再現性の高いもの」が集まり、構成されます。
RCTのような大規模な研究は結果が多くの対象者に当てはまるとしてエビデンスレベルも高いものとされます。
一方で、学会発表でよくあるシングルケースの発表やある一定期間の症例を比較して行うような研究は、一般的でなく、ある対象者にとってのみ効果があったものとなることが多いです。
そのため、「症例報告はエビデンスレベルが低く、話にならない」というような風潮がありました。
それでもあるシングルケースから歴史が変わったこともあります。
●歴史が変わったシングルケース
現在、Broca野が損傷すると、運動性失語が出るのは、教科書でも当たり前に出てきます。
しかし、脳科学が発展していない時代は未知の領域でした。
そんな中、1861年、フランスの神経科学者ポール・ブローカが「⾔葉を理解することは出来るが、話すことが出来ない男性」に出会います。
このケースからブローカは損傷部位が左前頭葉にあることをつきとめ、現在のBroca野と運動性失語の関連性が知られるようになりました。
このように日々の臨床のふとした疑問から時には後に残るような発見が生まれる場合があります。
日々、臨床の中には疑問が渦巻いています。
臨床家として同じ悩みにぶち当たっている療法士も一人ではありません。
同じような悩みを抱えた療法士が介入結果を報告することで、類似した症例を担当する
現在や未来の臨床家の役に⽴つことができます。
また、臨床疑問に対する新しい仮説を⽣成することができ、それが未来のリハビリの発展につながるかもしれません。
●症例報告の例
症例報告を行う場合、どのような事例が良いか迷うことがあります。
そこで例を3つ挙げます。
①気になった症例
日々の気になることを効果検証し、あげます。
シングルケースでは個別性が⾼いと考えられますが、その報告が、10年経過した後にたくさん報告されるようになるなど共通性へと変化し医学界の発展につながる可能性を秘めているかもしれません。
②稀な疾患、稀な経過
疾患⾃体が稀、疾患に対する理学療法の介⼊報告が稀など少ないケースをあげると、同じようなケースにあたった時の他の療法士の悩み解決につながる可能性があります。
③新たな⼿法
新たな介⼊⽅法も発表すると良いものの1つ。
違う視点から対象者を見ることで新たな発見につながるかもしれません。
いかがだったでしょうか?
職場の雰囲気により学会発表をする、しないは大きく分かれます。
どう判断して動くかも最終的には本人の判断ですが、よりよいものを患者さん、利用者さんに届けてもらえればと思います。
それではまた次回の記事でお会いしましょう。