作業療法つぶやきブログ

作業療法つぶやきブログ

現役作業療法士(OT)のブログ。不定期週2回12時更新。カテゴリー一覧はスマホの方はページ下部へどうぞ。

【文献】脳卒中後の感覚障害に有効なトレーニングは?

こんにちは。

 

脳卒中後に起こる感覚障害。

皆さんはエビデンスを持って関わることができていますか?

今回はそんな助けになるかもしれないものをご紹介します。

 

●文献

今回ご紹介する文献は「Does Sensory Retraining Improve Sensation and Sensorimotor Function Following Stroke: A Systematic Review and Meta-Analysis(感覚再教育は脳卒中後の感覚と感覚運動機能を改善するか?系統的レビューとメタ分析)」。

 

脳卒中後の感覚の低下は、2人に1人が経験し、自立した生活能力と生活の質の両方に影響を及ぼすとされています。

能動的・受動的な感覚に基づく介入を用いた感覚入力の反復的活性化は、適応的な運動皮質の可塑性を高めることが示されており、回復を媒介する可能性のあるメカニズムを示していました。

 

しかし、特に体性感覚機能に焦点を当てたリハビリテーションはほとんど注目されていないため、今回、研究されています。

 

●方法

1万を超える研究対象から最終的に38の論文を選定し、データを出しています。

・受動的トレーニング研究が29(上肢20、下肢9)

・能動的トレーニング研究が6(上肢4、下肢2)

・ハイブリッドトレーニング研究が3(上肢2、体幹1)

 

対象者は1093名、平均年齢は39.9-72.6歳で、男性657人、女性399人、左右の病巣はほど同数となっています。

脳卒中発症からの平均期間は1年未満から10年以上までいました。

 

結果は、Barthel Index (BI)、Berg Balance Scale (BBS)、Fugl-Meyer Assessment(FMAで出しています。

 

●結果

受動的トレーニングに中等度の効果があることが示されました。

一方、能動的トレーニングのエビデンスは論文数が少なく、結果が限定的とされながらも、脳卒中後の感覚運動機能の改善には有望であることが示されています。

 

結論では「感覚障害と運動機能に関する受動的トレーニングの有効性をある程度支持していることを強調している。しかし、能動的トレーニングに関するエビデンスは依然として限られている。脳卒中リハビリテーションにおける感覚再教育の有効性、特に能動的な感覚トレーニングの有効性を明らかにするためには、厳密な方法(一貫したアウトカム指標を用いた十分な検出力)による質の高い研究がさらに必要である」と結ばれていました。

 

能動的なトレーニングをするのも多いかと思いますが、まだこの時点では結果としてあまり上がっていないようでした。

数年前の研究にはなりますが、今後、能動的なトレーニングでどう変わるのか、研究してみるのもいいのかもしれません。

 

それではまた次回の記事でお会いしましょう。