こんにちは。
リハビリを行う上で阻害因子となる疼痛。
そんな疼痛をバーチャルリアリティ(VR)で緩和してリハビリに繋げようという試みが行われています。
今回は三重大が行っているその取り組みについてご紹介していきます。
●VRの効果
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まずVRの効果ですが、「Virtual Reality interventions for acute and chronic pain management(急性および慢性疼痛管理のためのバーチャルリアリティによる介入)」という文献で鎮痛作用について、有効な可能性があるというデータが示されています。
また、ロサンゼルスにあるシーダーズ・サイナイ病院が2017年3月に発表した入院患者100人を対象とする調査では、患者50人にVRヘッドセットで心を落ち着かせる動画を見せたところ、患者が訴える痛みの評価指標が24%減少したとされました。
他の患者50人には、2Dでリラックスできる自然風景の動画を近くに置いたスクリーンで見せましたが、痛みの指標は13.2%しか減少しなかったそうで、VRとの差が示されています。
こうした研究からVRの鎮痛作用に注目が集まってきました。
では、日本ではどうなのでしょうか?
●三重大によるクラウドファンディング
日本では研究の一つとして三重大が行っているものがあります。
その中で100万円のクラウドファンディングがありました。
元々、三重大では専用のVRゴーグルを使用した鎮痛効果の研究がなされていたようです。
ですが、助成金には上限があるため、クラウドファンディングにより助成金で賄えなかった市販のVR機器の購入を行い、臨床研究を進めていく予定となっています。
そして、クラウドファンディングは無事金額がクリアされ、VR機器5台など研究へ向けた必要設備の購入を以って2022年3月31日をもって終了しています。
●今後
今後の研究展開ですが、最終目標は「在宅看護など、さまざまな場面で活用していくこと」。
病院だけでなく、自宅でもVRを用いて、疼痛緩和やモチベーション向上を図り、リハビリ効果の向上などが図られる時代がやってくるかもしれません。
ちなみに疼痛緩和の理由は明確には分かっていません。
ですが、有力な説として「脳は非常に複雑なので、仮想現実のようなものが効果を発揮している仕組みを正確に突き止めるのは難しい」というものがあり、単純に気をそらすことが効果を発揮していると考えられているそうです。
つまり、脳はVRからの信号を処理するのに手一杯で、痛みなどのほかの信号を処理する余裕がなくなり、痛みを感じにくくなるというものですね。
理由が分かると適応できる方が分かるので、こちらについても今後研究が進んでほしいところです。
いかがだったでしょうか?
高齢者の方々がどれだけVRに馴染んでくれるのかは分かりませんが、もし効果が実証できてくればリハビリ前の自主トレにVRなんてこともあるかもしれませんね。
自分もあまり馴染みはないですが、自分が高齢者になる時代には色々と変化があるかもしれません。
三重大の動きに注目したいですね!
それではまた次回の記事でお会いしましょう。