こんにちは。
半年前にご紹介した認知症新薬「ADUHELM(アデュカヌマブ)」。
認知症に対する新薬として期待されましたが、治験の結果から薬の認可が先送りとなりました。
どうした点が問題となったのか、当面のリハビリについて見てきます。
●おさらい:アルツハイマー型認知症のメカニズム
アルツハイマー型認知症に関係するのは「アミロイドβ(タンパク)」です。
これはいわゆる脳の老廃物で通常は排出されているのですが、異常で大きなものが溜まり始めると脳細胞の周囲に存在し、脳細胞を死滅させてしまいます。
認知症が発生する20年ほど前から溜まり始め、脳細胞が死滅していくのにあわせて徐々に物忘れなどが生じてきます。
生活習慣なども関わるので、アミロイドβだけが悪さをしてアルツハイマー型認知症になるというわけではないのですが、大きな要因として扱われています。
●おさらい:新薬の効果とメカニズム
出典:https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/100400036/061400015/
今回登場した、「ADUHELM(アデュカヌマブ)」はこのアミロイドβタンパクの脳内蓄積を減少させる薬です。
従来の薬ではアミロイドβに直接作用するものはありませんでした。
治験では1000人を超える認知症初期患者やアルツハイマー型認知症患者が参加し、いくつか行われた治験のうちの1つで1年半の投与で「認知機能低下を22%抑制できた」という結果が出ました。
その際いくらかアミロイドβの減少を確認できたようです。
今回の問題はもう一つの治験で起きました。
そちらも確認してみましょう。
●治験で起きた問題
問題点は大きく3つありました。
①二つの試験の結果に一貫性がない
前回の治験では1年半の投与で22%抑制できたというデータが出ました。
しかし、今回は薬を投与した場合としなかった場合で差がないデータも見られたため、一貫性がないということが問題となっています。
②Aβ低下と症状の進行抑制との関連が不明確
今回の治験では神経細胞の働きを失わせるアミロイドβが減っても認知機能の進行抑制ができない患者もおり、アミロイドβと認知症予防関連性が十分でないとされました。
「アミロイドβの減少こそが認知症予防になる!」というデータを突き付けられないと今後も簡単には承認がおりないかもしれません。
③投与により脳の浮腫や微小出血などがみられる
治験を受けたグループの約35%に浮腫、約19%に微小出血を認めたようです。
効果に対してリスクが高いというデメリットが今回承認見送りの一因となってしまいました。
●今後と認知症リハビリ
バイオジェンとエーザイは追加の治験を22年に始め、主要な評価を終えるまでに4年を見込んでいます。
薬として使われるようになるのは最短でも数年かかりそうですね。
しばらくはリハビリも今の手法を続けていくことになりそうです。
・ユマニチュード
・バリデーション
・回想法
・コグニサイズなど
多くの技法を組み合わせてその人に合わせた対応をしていく。
今後も「人」を見てしっかりとした対応をしていきたいですね。
ではでは。