こんにちは。
皆さんの周りで介護保険で四点杖や歩行器のレンタルをされている方はいらっしゃいますか?
リハビリ職は現場や退院支援で関わることが多いですが、そうでない方も知り合いや身内で使用されている方を知っている方もいるかもしれません。
今回はそんな四点杖や歩行器がレンタルでなく購入対象になるかもしれない話題について取り上げます。
●経緯
日本は現役世代が減り、高齢者の割合が増え続けています。
その中で課題になっているのが、医療費・介護費の増大。
今回取り上げる介護保険は開始された2000年度は給付金額3.6兆円、現役世代の平均負担金額も月額2911円でした。
ところが、2017年度には給付金額が10兆を超え、現役世代の負担も月額5514円へと上がっています。
このままいけば、2025年度には更なる給付額の増加と現役世代の負担が8000円超えになると言われています。
増え続ける介護保険料に対して政府はサービスの適切な利用を担保しつつ給付費の抑制を図る方策を図っており、今回の四点杖・歩行器がレンタルから購入になるかもという話へと繋がってきました。
●財務省・厚労省の意見
財務省から厚労省へ現在のサービスを維持するための財源確保のための案として以下の案を提示しています。
① 歩行補助杖、歩行器、手すりなど廉価な福祉用具を貸与から販売に切り替え、ケアマネジメントの費用がかからないようにする
②ケアプランの内容が福祉用具貸与のみの場合、居宅介護支援の介護報酬を引き下げる
これらの話がありました。
もし、四点杖を楽天などで買う場合はこのようなものがあります。
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一般的な通販の方が福祉用具カタログで買うより安い場合がありますが、それでもこの値段という事で、金銭的な負担が増えると感じる人も多いかもしれません。
①に関しては今のシャワー椅子などと同じように1割~3割負担でものが買えるようにしていくのかもしれませんね。
●現場の声
では、介護現場の声はどうかというと
①購入になると状態像の変化に応じて適時・適切に福祉用具を使ってもらう機能が弱まる
②柔軟に動けないと利用者の重度化が進み、それが給付費の膨張につながる
③重症化が進めば、本来、福祉用具貸与のみのケアプランになるケースでも、デイサービスやヘルパーなどサービスが増えていく
訪問セラピストの立場としても①にはすごく共感できます。
レンタル品のいいところはすぐに変更できるところですからね。
柔軟な対応ができるからこそ利用者さんの動きにあわせて切り替えれますし、色々と試すことができます。
柔軟に動けないと②、③の負のスパイラルに陥るのも分かります。
ただ、購入になってくるとしっかりとしたものを選ぶセラピストやケアマネ、福祉用具業者の能力向上も図っていかないのかもしれません。
お金の問題は分かりますが、どう質を担保していくかは課題ですね。
今年の夏から更に議論がかわされ、秋から年末にかけて2024年度の制度改正について政府が最終的な意思決定をしていくとされています。
厚労省の目標とする「利用者の自立した日常生活の支援と制度の持続可能性の確保」は実現していけるのでしょうか?
リハビリ職種の現場でも大きく影響が出る話ですし、医療関係者でなくとも、自分たちの将来に関わることや自分たちの家族に関わってくる話です。
どのような結論が出てくるのか注目していきたいですね。
リハビリと福祉用具についてはこちら
ではでは。