こんにちは。
今回は消防団員怪我について取り上げます。
年間1000人以上が怪我をしている消防団ですが、特に多いのが演習訓練時の怪我です。
怪我人の人数や内容について見ていきます。
●負傷人数
消防団員の年度負傷者数の推移です。
平成21~30年度の10年間で団員数は約81万人から約77万人へと減少していますが、負傷者は約1300人います。
また、()内の数字は死者数になります。
平成22年度の東日本大震災は例外的ですが、ほぼ毎年死者も出ているんですね。
消防団員は危険と隣り合わせかもしれません。
では、どのような場面で負傷者が出ているのか次に見ていきます。
●発生状況
見てもらえると分かるように年度ごとの内訳はほぼ一定です。
消防団だけあって消火活動による怪我も多いですが、圧倒的に多いのは
「演習訓練」
となっています。
消火活動が20%に満たないのに対して、演習訓練は60%台と怪我の半数以上を占めています。
いかに演習訓練での負傷者が多いのかが分かりますね。
では、次に演習訓練の中でもどのような活動時に負傷するのか見ていきます。
●演習訓練での怪我理由の内訳
この図の通り、演習訓練ではポンプ操法の動作時に負傷者を出していることが分かります。
怪我の具体例を上げていくと
①小型ポンプ操法訓練中、ホースを担ぎ全力疾走していた際に、太もも裏側に激痛を感じて転倒
②操法訓練中、ホースを落とし、ホースの金具が脚に当たり負傷
③ポンプ操法練習中、ポンプ車後方に配置してあるホースをとるため、下車し、方向転換時に捻挫
④操法大会中、火点に向け駆け足で発進しようとした際、アキレス腱にパチンという音がし、痛みのため、歩行不能
他にも操法訓練中にポンプ車に指を挟んで骨折などもありました。
操法大会や練習中の熱中症も含めて演習訓練のなかでの怪我とされます。
ではなぜ特にポンプ操法やその大会で負傷者が多発するのか、考えていきます。
●なぜ操法大会に向けた演習で怪我が多いのか
「長期間に及ぶ過酷な練習」
これが怪我の要因と考えられます。
まず、練習期間ですが、うちの分団で大会の2~3か月前から練習を開始します。
早いところでは年明けから半年もかけて大会の練習を行うそうです。
練習する日程は週2~3回、20:00~23:00という日程や朝4時や5時からの朝練というような形で練習を行います。
本業もある中で早朝からの練習はかなり過酷ですよね。
早朝では身体が動きにくいですし、夜は眠気や疲れもあります。
どうしても怪我の危険性は上がってしまいますね。
そして、大会当日も最後の朝練が4時ごろから行われる場合があります。
他の分団含め大会が終われば、最後に式典です。
国歌斉唱や来賓の挨拶などが真夏の炎天下の中で30~40分行われるため、かなり体力を必要とします。
過酷な分団では半年間も仕事と練習を繰り返し、当日も早朝からの練習で身体が疲弊している状態で直立不動で式典に臨む。
熱中症になることもありますよね。
操法大会は現在のままいけば、怪我の温床です。
どこかでメスをいれなければいけません。
コロナ渦で活動が制限されている今こそ見直していってほしいですね。
また、私たちの仕事では誰かが怪我をしたり、怪我をしそうになったり、した場合、内容を見直しますよね?
重大なアクシデントは起こさないように細かいインシデントやヒヤリハットは職場で対策を練られていると思います。
消防団って事故に対して見直しをしているのでしょうか?
団員数が減少しているのに怪我の件数が減らないこと自体が消防団という組織の怠慢であると感じます。
操法大会にとらわれている場合じゃないと思います。
操法大会廃止と共に消防団員が火災現場などで安全に動けるような活動も見直してほしいと思います。
誰もが消防団で怪我をしたいなんて思わないですよね。
他助の前の自助をしっかりとできるようにしていってもらいたいです。
ではでは。