作業療法つぶやきブログ

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現役作業療法士(OT)のブログ。不定期週2回12時更新。カテゴリー一覧はスマホの方はページ下部へどうぞ。

【感染】知っておきたい感度と特異度

こんにちは。

 

新型コロナウイルスが変異株を含めて猛威を振るっています。

緊急事態宣言も延長されましたね。

今回ゴールデンウイークに「PCR検査で陰性だったので外出しました」とテレビでのインタビューを見ました。

本当に安全と言えるのかPCR検査の感度と特異度について確認していきます。

 

●感度と特異度とは

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感度と特異度は以下の様になります。

感度:陽性のものを正しく陽性と示す確率

特異度:陰性のものを正しく陰性と示す確率

 

PCR検査でいうと、感度が100%であれば、新型コロナウイルス感染者を確実に陽性で割り出せます。

しかし、感度が50%であれば、感染者の半数は検査の網をすり抜け、市中感染を引き起こす可能性があります。

 

反対に特異度は陰性者を正しく陰性と判断できる確率です。

特異度が50%しかない場合、陰性であるにも関わらず、半数が陽性と出てしまうことがあります。

そうなると必要でもない方に医療的な処置を行い、本当に重症な方に医療が行き届かなかったり、無駄に行動制限をかけ、経済の停滞を招いてしまいます。

 

感度も特異度も両方重要なんですね。

では、PCR検査の感度と特異度を見ていきましょう。

 

PCR検査の感度と特異度は?

PCR検査が開始された頃の発表ではこうなっていました。

感度:70%

特異度:99%

つまり、検査をすれば、陰性者はほぼ確実に陰性と出ます。

一方、陽性者の30%は検査をすり抜けてしまうとされていました。

 

30%というと多く感じるか少なく感じるか分かりませんが、大勢の人が検査し、700人陽性だった場合、300人は陽性と出ていない可能性があるということです。

 

かなりすり抜けてしまう!と感じる方もいると思いますが、インフルエンザの検査でも感度は70%程度とされています。

実はインフルエンザでも風邪として判断されている方が大勢いらっしゃるようです。

もしかするとインフルエンザであるにも関わらず、熱が落ち着いたから会社に来たという人は少なくないかもしれません。

 

しかし、インフルエンザと新型コロナウイルスが大きく異なるのは症状の有無と感染力です。

インフルエンザだったとしても39℃で風邪症状がある時に会社には行きませんよね。

 

しかし、新型コロナウイルスの場合は無症状の場合があります。

無症状であれば感染している自覚がなく、最も感染力が高い状態で会社に行くこともあります。 

検査ですり抜ける人、無症状の人が多いと大規模な市中感染が引き起こされるリスクになります。

 

●感度は90%!?

最初の頃、感度が70%程度と言われていたPCR検査ですが、2020年9月に北海道大学病院がそれを覆す結果を発表しました。

 

出典:https://www.huhp.hokudai.ac.jp/news/2020-09-29/

その研究結果ではPCR検査の感度は「90%」

今までの70%を大きく超える結果です!

陽性であるのに陰性と出ている人は思ったより少なかったのかもしれません。

 

●検査したから安全か

ここまで感度と特異度について見てきました。

感度が90%ということで、陽性である人のうち、陰性と判断されてしまうのは10%ということになります。

 

たった10%にはなりますが、検査したから100%安全というわけではありません。

冒頭でテレビの人が言っていた「PCR検査で陰性だったので外出しました」は本当に正しいのでしょうか?

自分が検査をすり抜ける10%になるかもしれませんし、他の人もそのように考えていたら、陽性者が至る所で活動する状況になります。

そうなると自分が周囲の人や大切な人に感染させてしまったり、反対に出かけることでもらってしまうこともあるかもしれません。

 

「検査で陰性=安全」ということは全く当てはまりません。

外出を自粛するか、しっかりと感染対策をとって人込みやマスクなし会食を避けるといった行動の方が確実に予防できます。

 

プライベートだけでなく、職場や学校でも「接触者が検査で陰性だったから安心」では感染リスクがあります。

検査のみで判断せず、症状や期間を見ながら総合的に判断していかないといけません。

私たちリハビリ職はリハビリを行うかどうかを自己の判断で行う場合もあります。

その場合にもしっかりと考えて、行動していきたいですね。

 

ではでは。