こんにちは。
皆さんはリハビリ時間(単位)を正規の時間で取っていますか?
「取っているよ!」という方が大半でしょうが、今回、病院で働く理学療法士がリハビリ時間(単位)で処分を下される事案が発生しました。
どのような事例だったのか確認し、現場の声やなぜそのような事例が起こるのかを上げていきます。
●不当請求の事例
今回不正が行われたのは、京都中部総合医療センターです。
出典:患者のリハビリ怠り、理学療法士を減給処分 所定より短く約50回「不調で休憩取り、開始遅れた」|社会|地域のニュース|京都新聞
地域の拠点病院となる大きな病院の様です。
リハビリは拠点病院という事で急性期~回復期まで実施しているようです。
今回発覚した内容は50歳代理学療法士が複数の患者に対し、所定時刻より10~20分短いリハビリを計50回行い、リハビリの単位数を不当に請求を行ったというものでした。
当該理学療法士は3ヶ月の減給処分となり、上司は戒告の処分となったようです。
今回の事例はもちろん許されることではありません。
しかし、現場で働く理学療法士などからは生々しい声が聞かれました。
次にそれを確認していきます。
●現場の声
Twitter上の声を集めてみましたので、見ていきます。
理学療法士Aさん
「19単位とるけど15時に業務を終えるセラピストにこのニュースを見てほしい。」
1単位は20分なので、9時から業務開始だった場合、昼休憩を1時間とすると19単位とるのには16時20分までの勤務が必要です。
8時から勤務だったとしても15時には間に合いません。
作業療法士Bさん(キャリア10年以上の方)
「患者さんから廊下を歩いて終わったと話を聞いた。確認すると算定してあったのは2単位(40分)のリハビリだった。」
どれだけ長い廊下を歩けば40分かかるのでしょうか?
間に休憩をはさんだとしても少し無理のある時間ですね。
理学療法士Cさん
「これは氷山の一角」
現場で働いていても他にもこれくらいしている人はいると感じているようです。
理学療法士Dさん
「同じようなことをやっている同僚がいる」
大問題ですね。
理学療法士Eさん
「10分巻いて全ての患者さんを終わらせていた人に見てほしい」
この方も身近にいたようですね。
他にも
「40分なのに3単位(60分)取っている人がいる」
「20単位なのに15時からパソコンを触っている」
このような声がありました。
私自身、病院で勤務していた頃は周囲に不当に時間を短くしていた人がいました。
このように色々な方から声が上がっているので、今回の事例がいかに病院のリハビリ界隈で常習化しているのかが分かります。
しかも悪質なのは組織ぐるみで行われている病院もあるということです。
私の以前いたところは、組織ぐるみではなかったので、明らかに短い人(特に若手)はつつけば、改善が見られました。
しかし、年長者が不当な時間で勤務している、組織として許容しているところは改善が難しいです。
なぜ、そんなことが起こるのか見ていきます。
●なぜ不当な請求が起こるのか
これは病院のリハビリが売り上げを保つために1日18~21程度単位数を稼ぐようにしていることが挙げられます。
つまり、1日のノルマがあります。
自分が出勤する以上、達成しないといけない数字が毎日ある病院があるということですね。
患者さんが体調不良で単位が取れない場合は他の方のリハビリを多くしたり、他の人の患者さんを代診して数字を達成していきます。
リハビリの質ではなく、この数字だけを見ている職場は特に危ないと思います。
質を担保するためにはリハビリの時間も必要ですし、多職種連携で時間を割くことも大事になってきます。
しかし、「ノルマを達成して残業せずに早く帰る」
これが最優先されている職場では、少しずつ患者さんのリハビリ時間を削り、早くカルテ業務に入って早く終わるといったことが常習化している場合があります。
今回の事例が組織としてどうだったのかはこの組織の人間でないので、分かりません。
ただし、同じリハビリ職の人間としてはこうしたことが表に出てきたという事は重く受け止めるべきだと思います。
今回のケースが発覚したのは内部告発の可能性もありますが、今は昔と違い、患者さんがリハビリについて詳しく調べられる時代です。
昔は40分を30分で終わって、40分として請求していても患者さんは分からない場合がほとんどでした。
しかし、今はスマホでなんでも調べられます。
現在、不当に単位数をとっている組織や個人があるとすれば、即座に改善すべきと思います。
次は我が身だと思った方がいいでしょうね。
色々と書きましたが、まじめに取っている病院や個人が大部分であると私は思っています。
一緒に働いていても年齢に関係なく熱心に患者さんとリハビリをしていた職員は多くいました。
まじめにやってまじめに単位もとる。
そんな人が大半ですので、一部の人間の動きでまじめにやっている人間まで後ろ指をさされるのは嫌な気持ちです。
当たり前なんですが、
「不当に請求しない」
これを守りましょう。
リハビリの未来、患者さんの未来、全てを大切にするうえで絶対に守るべきことです。
変なことで患者さんの動揺を招き、リハビリ効果が落ちるなんてことのないようにまじめに仕事に取り組んでいきましょうね。
ではでは。