こんにちは。
病気や加齢により食事場面で「誤嚥」が問題となることが多々あります。
医療従事者の方や家族の介護をされた方は一度は頭を悩ませたことがあるかも知れません。
この誤嚥に対しては食形態はもちろん、ベッドの角度調整や車いす座位姿勢の調整など様々な方法で飲み込みやすさを調整することが多いです。
その中で今回は完全側臥位法という方法をご紹介します。
●誤嚥とは
誤嚥とは、飲み込んだ食べ物や唾液などが、食道ではなく気道に入ることです。
飲み込んだものが気管に入っても、若い健康な人はむせるなどして、すぐに体外へ排出され、肺まで多くは到達しません。
ところが高齢や病気になると、ものを排出する力が弱まり、そのまま気道に入り込み、肺まで到達すると「誤嚥性肺炎」を引き起こしてしまい、命に関わることもあります。
●完全側臥位法
出典:https://axel.as-1.co.jp/contents/oc/pneumonia_prevention
完全側臥位法とは、文字通り、完全な側臥位(90度横を向いて)の姿勢とります。
その状態でご飯を食べるんですね。
脳梗塞など半身麻痺の場合は非麻痺側を上にします。
この時の姿勢保持のポイントは4つ。
・首の側面が真下に保持。
・背中側へ崩れさせない。
・肩のラインと骨盤が垂直に保てるようにする。
・枕は顔を上向きにした状態を保てるようにする。
姿勢保持時はこのようなクッションが有効なようです。
|
|
食事終了時にはフィニッシュ嚥下といって、水やとろみ水で溜めている食材を飲み込む必要があり、そこまで行って食事は終了となります。
では、この姿勢ではどのようなメリットがあるのでしょうか?
●完全側臥位法のメリット
①重力による誤嚥を防ぎやすい
誤嚥しやすい状態では気道肺方向に行かないようにする弁が閉まりきっていません。
その状態でも梨状窩(喉のところにある窪み)という部分に水分などが一部貯留できるのですが、十分な量を留めることができず、気道や肺の方向へ漏れ出て行ってしまいます。
そうなると誤嚥性肺炎になることがあります。
一方、完全側臥位では喉の側壁が受け皿となり、重力の影響も受けにくいので、気道や肺方向へ流れにくくなります。
このように重力の影響を受けにくいという姿勢が一つ誤嚥性肺炎をおこしにくくなる一つの要因になります。
②咽頭貯留量が増加できる
人間の飲み込みがある程度溜め込んでから行われることが多いので、溜め込む力は重要です。
先ほどの水分を溜め込む能力については梨状窩のところに30度座位で3cc、座位で4.6cc程度となっています。
一方、完全側臥位では喉の側壁に14~20cc溜め込むことができるそうです。
しっかりと溜め込み、飲み込むことができるので安全に行うことができる可能性があるようですね。
あまり見栄えは良くないかもしれないですが、非麻痺側が上に来ることで脳梗塞の方々も食事の自力摂取は可能となるようです。
効果の一部としてはこの3つが言われていました。
・自宅復帰率が上がる。
・食事がとれることでアルブミン値など栄養状態が上がる。
・看取り期まで食事がとれる。
私自身、完全側臥位法で食事を行ったことはないです。
ですが、リハビリ栄養はここ10年で一気に注目されるようになりました。リハビリで関わる中でも誤嚥で悩むことは多いですし、言語聴覚士さんと相談することも多いです。
栄養状態を改善するツールとしてやリハビリ阻害因子の誤嚥性肺炎を引き起こさないための一つの方法として活用できるといいですね。
それではまた次回の記事でお会いしましょう。