作業療法つぶやきブログ

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現役作業療法士(OT)のブログ。不定期週2回12時更新。カテゴリー一覧はスマホの方はページ下部へどうぞ。

【文献】ポケモンGOと健康維持: 身体活動とリハビリ効果を探る

こんにちは。

 

健康維持目的で使われることもあるポケモンGO

移動しながらゲームができる先駆け的存在でもあります。

世に出されてから数年が経ちますが、運動面への研究は続いています。

 

●文献

今回ご紹介するのは「Effects of Pokémon GO on Physical Activity and Psychological and Social Outcomes(身体活動心理的・社会的結果に対するポケモンGOの効果)」というもの。

ポケモンGOがプレイヤーの身体活動心理的・社会的側面に与える影響を探った研究です。

 

過去の論文をまとめ、再検証しており、選ばれた研究の条件は3つ

①英語で発表された定量的研究

②身体機能、心理的、社会的アウトカムに対するポケモンGOの関係または影響を調査している

ポケモンGOをプレイした参加者がいる

 

この条件に合う研究を36選び、約36000人分のデータから検証しました。

 

●結果

ポケモンGOをしたプレイヤーはそうでない人と比べ、1日の歩数と身体的な運動負荷の強度が増しました

ゲームのために歩くので、ここは当然の結果かもしれません。

 

また、プレイヤーの社会的相互作用や気分・感情も改善したとされました。

友人など他のプレイヤーと一緒に行動したり、見知らぬ人と、一緒にレイドバトルで盛り上がり、社会的相互作用が改善したのかもしれません。

また、趣味活動として行うので、気分や感情もいい方向に傾いたのでしょう。

 

他にはゲームをした後、青年期では選択的注意と集中力が向上し、若年成人では記憶力が向上したとされました。

歩きながらのスマホ操作はダメなので推奨しませんが、ながらスマホをせず移動→画面を見て操作するの繰り返しが有酸素運動をしながら考えることの繰り返しとなり、効果があったのかもしれません。

 

また、冬でも歩くため、身体活動量が低下しにくいというような効果もあったようです。

 

●自分で動きたいと思えることが大事

リハビリでは退院後に自分でいかに動いてもらえるかが非常に重要となります。

自主トレを提案したけど、してもらえないという経験をした方も多いはず。

 

つまり、アプリを入れることで、やる気になってもらえるのであれば、それだけで、最大限のリハビリ効果を出せるかもしれません。

 

今はドラクエウォークといったゲームだけでなく、ポイ活のために歩くアプリも増えました。

物は使いようです。

アプリを適切に使いながら、健康維持をしていきたいですね。

 

それではまた次回の記事でお会いしましょう。

【お金】リハビリ職も手を出すべきでない危険な副業

こんにちは。

 

仕事をしているとお金の悩みは尽きない人が多いですよね。

私も含め、周囲にも悩みを抱えている人を見かけます。

副業も増えてきましたが、間違えた副業をすると取り返しのつかないことに。

今回は危険な副業について取り上げます。

 

ネットワークビジネス

「高額な壺を売るセンセイと最前列に座るサクラの女性」の写真[モデル:YAT]

通称マルチ商法と呼ばれるネットワークビジネス(連鎖販売取引)がまずは気を付けるべきものです。

マルチ商法は勧誘により、ごく一部の上位の人間が儲かるシステム。

 

下になればなるほど、初期投資のお金の回収が難しくなり、借金が残ります

また、友達を勧誘すると「怪しいやつ」と思われて離れていったり、購入させた友人との友情が壊れる確率が極めて高くなっています。

 

友達をなくしたくない人は絶対避けましょう。

 

●楽して稼げる系

「毎日スマホをポチポチするだけで月数万円の収入!100万円も可能!」

このような感じで毎日単純作業を行うだけで大きなお金がもらえるのも危険性が高いものです。

 

例えば、ポチポチでは全くお金が貯まらず、高額な収入のためにはラインなどへの登録を促されます

そして、登録すると送られてくるのは高額な情報商材で、後々それをもちいれば稼げるとうたわれるもの

 

もちろんそれでは稼ぐことができず、結局稼ぐどころか、高額の情報商材が残るだけというケースが少なくありません。

 

楽して稼げるなら国民全員が億万長者です。

 

●「絶対稼げる」情報商材

絶対稼げる

このうたい文句にも注意しないといけません。

 

世の中はリスクとリターンが表裏一体です。

例えば、銀行預金は1000万まで元本保証ですが、預金の金利は雀の涙です。

つまり、ローリスク・ローリターン。

 

一方、ビットコインなど仮想通貨やレバレッジ取引(お金を借りて取引)は大化けする可能性があります。

しかし、商品が値下がりすれば、大きな損益を被り、借金を抱えることもあります。

つまり、ハイリスク・ハイリターン。

 

これが世の中の摂理です。

今人気の新NISAも100%儲かる手法ではありません。

確実性は高いものはあっても、資産が倍になるなど100%大きく儲かって元本も保証されるというものはないんですね。

 

では最後に、だまされないための心構えについて見ていきます。

 

●手を出してしまう前に考えるべきこと

「なぜその人はその儲かる情報を教えてくれるのか?」

「その情報をこちらに伝えてその人にとってなんのメリットがあるのか?」

 この2点について考えておく必要があります。

 

もしあなたが本当に何も考えず1日スマホをポチポチで月数万儲かる商売をしていたら人に教えますか?

教えることで競合他者が増え、稼ぎにくくなるかもしれません。

そうなった場合に人に教えるメリットはありますか?

まして身内でも友人でもない赤の他人にです。

 

こう考えると本当の神様のような善人はほぼ皆無で、怪しい副業を紹介している人は紹介することで自分になにかメリットがある人が大半だと言えます。 

 

自分の身を守れるのは自分自身であり、他人は守ってくれません。

リハビリは高給取りではないことが多いのでしっかりと守りを固めて変なことに巻き込まれないようにしていきましょう。

 

それではまた次回の記事でお会いしましょう。

【リハビリ】学会発表の価値とは?

こんにちは。

 

手間隙かかる学会発表。

大変な思いをした方もいるかと思いますが、重要視されることも多いです。

そこで今回は学会発表はなぜ大切なのか、島根県理学療法士協会のデータを中心に取り上げます。

 

●研究の階層

臨床研究のエビデンスレベルに変化 オーソモレキュラーに追い風 ...

出典:https://mizoclinic.tokyo/staff/6873/

研究のエビデンスレベルは研究内容で変わり、エビデンスは「再現性の高いもの」が集まり、構成されます。

RCTのような大規模な研究は結果が多くの対象者に当てはまるとしてエビデンスレベルも高いものとされます。

 

一方で、学会発表でよくあるシングルケースの発表やある一定期間の症例を比較して行うような研究は、一般的でなく、ある対象者にとってのみ効果があったものとなることが多いです。

そのため、「症例報告はエビデンスレベルが低く、話にならない」というような風潮がありました。

 

それでもあるシングルケースから歴史が変わったこともあります

 

●歴史が変わったシングルケース

現在、Broca野が損傷すると、運動性失語が出るのは、教科書でも当たり前に出てきます。

しかし、脳科学が発展していない時代は未知の領域でした。

 

そんな中、1861年、フランスの神経科学者ポール・ブローカが「⾔葉を理解することは出来るが、話すことが出来ない男性」に出会います。
このケースからブローカは損傷部位が左前頭葉にあることをつきとめ、現在のBroca野と運動性失語の関連性が知られるようになりました。

 

このように日々の臨床のふとした疑問から時には後に残るような発見が生まれる場合があります。

 

日々、臨床の中には疑問が渦巻いています。

臨床家として同じ悩みにぶち当たっている療法士も一人ではありません。

 

同じような悩みを抱えた療法士が介入結果を報告することで、類似した症例を担当する
現在や未来の臨床家の役に⽴つことができます。
また、臨床疑問に対する新しい仮説を⽣成することができ、それが未来のリハビリの発展につながるかもしれません。

 

●症例報告の例

症例報告を行う場合、どのような事例が良いか迷うことがあります。

そこで例を3つ挙げます。

 

①気になった症例

日々の気になることを効果検証し、あげます。

シングルケースでは個別性が⾼いと考えられますが、その報告が、10年経過した後にたくさん報告されるようになるなど共通性へと変化し医学界の発展につながる可能性を秘めているかもしれません。

 

②稀な疾患、稀な経過

疾患⾃体が稀、疾患に対する理学療法の介⼊報告が稀など少ないケースをあげると、同じようなケースにあたった時の他の療法士の悩み解決につながる可能性があります。

 

③新たな⼿法

新たな介⼊⽅法も発表すると良いものの1つ。

違う視点から対象者を見ることで新たな発見につながるかもしれません。

 

いかがだったでしょうか?

職場の雰囲気により学会発表をする、しないは大きく分かれます。

どう判断して動くかも最終的には本人の判断ですが、よりよいものを患者さん、利用者さんに届けてもらえればと思います。

 

それではまた次回の記事でお会いしましょう。

【文献】後期高齢者の筋トレの効果とは?

こんにちは。

 

医療関係で仕事をしていると高齢者と関わることが多く、75歳以上の後期高齢者も珍しくありません。

その中でリハビリでは「こんな歳からやって力がつくの?」など筋トレについて疑問を投げかけられる場面を何度も経験したことがある方も多いのではないでしょうか?

その時に困った経験のある方、迷いながら答えている方は今日の内容を参考にしてもらえればと思います。

 

●結論

結論を先に言うと、「運動方法によっては効果あり」となります。

では、この結論までの詳細を見ていきます。

 

●文献

今回ご紹介するのは「Effects of Resistance Training on Muscle Size and Strength in Very Elderly Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials(超高齢者における筋力トレーニングの筋サイズおよび筋力への効果。無作為化対照試験の系統的レビューとメタアナリシス)」です。

 

この研究は75歳以上の超高齢者におけるレジスタンストレーニングの筋サイズおよび筋力に対する効果を検討することを目的に書かれています。

 

では、詳細を見ていきましょう。

 

●方法と結果

過去の研究の中から超高齢者におけるレジスタンストレーニング(抵抗運動)後の筋力、ハンドグリップ後の筋力に対する効果を検証しています。

 

結果、75歳以上のグループにおいて、レジスタンストレーニングを行ったグループの方が筋力の向上を認めました。

また、80代以上の高齢なグループでも検証したようですが、そちらでもレジスタンストレーニングを行ったグループの方が筋力が向上したそうです。

 

一方、ハンドグリップの練習を行った方は有意に筋力が向上しなかったようです。

握力を鍛えるのは難しいのかもしれません。

 

●臨床場面でのモチベーション向上に使える

この研究からはレジスタンストレーニングが高齢者の筋力を向上させたとなりました。

実際の臨床場面では高齢者の筋力増強について懐疑的になる場面はありませんか?

 

「もう歳だから…」

こんな言葉はよく聞かれます。

しかし、研究結果から高齢者でもある程度の負荷をかければ、筋力が上がることが示唆されています。

 

75歳や80歳から力をつけるのは難しいです。

しかし、あきらめなくてもいいかもしれません。

 

こうしたデータもあることを伝えながら、患者さんや利用者さんのモチベーション向上につながるかもしれません。

モチベーションはリハビリ効果を出すために非常に重要です。

 

これからも高齢者が増える時代は続きます。

効果が出せるリハビリにできるように内容や伝え方にも注意していきましょう。

 

それではまた次回の記事でお会いしましょう。

【リハビリ】日本で働くリハ職も知っておきたい日本とフランスのリハビリ制度の違いとは

こんにちは。

 

皆さんはどこで仕事につかれているでしょうか?

都道府県はバラバラでも、この記事を読んでいる方は日本で仕事している方がほとんどだと思います。

今回は外国に目を向けてリハビリの話をしていきたいと思います。

 

●フランスのリハビリ

Arc De Triomphe, Paris, Landmark, Famous, France

フランスのリハビリは「在宅入院」という制度と密に関わっています。

 

日本の転院などをせず、どれくらい病院に入院したかという在院日数は1988年が31.8日、2010年が18.8日となっています。

日本でもかなり短くなってきていますが、フランスでは1988年で10.8日、2010年で7.3日とかなり短くなっています。

 

股関節の手術では1週間で退院することもあるようで、日本と比べると早くなっていました。

そこで注目したいのが「在宅入院」です。

 

●在宅入院

Mattress, Bed, Pillow, Sleep, Relax, Relaxation, Rest

在宅入院とは在宅医療と訪問看護をあわせたもので「Hospitalisation a Domicile(HAD)」と呼んでいます。

これは在宅にいながら24時間病院に入院しているのと同じ治療や看護ケアが家で受けられるもの。

すぐに対応するためにHADの事業所は病院のナースステーション同様、消毒された治療材料や薬剤、注射薬、さまざまな処置に必要な道具がそろっています。

 

ここが日本と大きく異なり、HADの期間が平均して約13日ありました。

つまり、病院の入院期間と在宅での入院期間を合わせると約20日ということになり、日本の入院期間とほぼ同じになってきます。

 

●セラピストに開業権も!?

white hospital bed near white wall

フランスではセラピストに開業権があります。

日本では自費リハビリや訪問看護ステーションでない限り、セラピストが開業することは難しいですが、フランスではあるようです。

 

開業できることも在宅でリハビリを行うことが増えている一因になっているのかもしれません。

 

このような制度の結果、日本が訪問リハビリ部門で働く理学療法士の割合が10%に満たないのに対し、フランスでは80%もの理学療法士が在宅部門で働いています。

驚異的な数字の違いですね。

言語聴覚士も同じような割合で在宅部門が多いそうです。

 

一方で作業療法士は在宅部門はわずか6%しか在宅部門はいません。これは保険適応の範囲が狭いからだそうです。

作業療法理学療法や言語療法と比べ、内容が分かりにくい分、中々適応にならないのかもしれません。

 

人数としても数年前は理学療法士75000人、言語聴覚士21000人規模だった時に作業療法士は8000人程度しかいなかったそうなので、人数の少なさも影響しているかもしれません。

 

日本は在宅に関しては訪問看護ステーションの締め付けが厳しくなっており、むしろ療法士が働きにくい方向へ向かっているかもしれません。

 

いかがだったでしょうか?

日本と外国のリハビリ制度は大きく異なることがあります。

同じような医療体制は難しいとしても、在宅で働きやすい、または開業できて自分で働いていける道が少しでも拡充されていくことを願います。 

 

それではまた次回の記事でお会いしましょう。。

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