こんにちは。
先日、イグノーベル賞の受賞者が発表され、工学賞に選ばれた千葉工業大学の松崎元教授らのグループが選ばれました。
選ばれた研究内容は「つまみ」。
作業療法士なら興味を引かれる話題かもしれません。
今回はその話をテーマに取り上げます。
●イグノーベル賞とは
イグノーベルとは様々な分野で顕著な功績を残した時に送られるノーベル賞に否定を表す「Ig」を頭につけて、英語の形容詞「ignoble(恥ずべき、不名誉な、不誠実な)」にかけた造語です。
ノーベル賞の様に各分野に分かれており、選考基準は「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」。
2022年は工学賞を千葉工業大学の松崎元教授らのグループが受賞しています。
出典:https://www.jiji.com/jc/article?k=2022091600261&g=int
ユニークな賞ではありますが、松崎教授は「このようなすばらしい賞をいただきとても光栄に思います。デザインの分野では多くの研究者がこのような人間の無意識の行動を研究しています。今後、より多くのデザイナーが受賞することを願っています」と喜びを語りました。
松崎教授が受賞したテーマは「つまみ」。
どのような研究だったのでしょうか?
●つまみの研究
出典:https://www.asahi.com/articles/ASQ9H76Y1Q9GULBH00P.html
人は普段、ドアを開けたり物をつまんだりする時、取っ手の形状や大きさ、材質などを視覚や触覚で判断し、使用する指の本数を無意識のうちに変化させています。
デザイン学を専門とする松崎教授は製品設計に役立てようと、取っ手の直径によってどのように本数が変化するのか検証したいと思い、研究を始めました。
研究方法は直径7~130ミリの円柱45本を用意し、男女32人が自然につまんで回転させる様子を分析しました。
結果、多くの人が直径10~11ミリで2本から3本に、直径23~26ミリで3本から4本に、直径45~50ミリで4本から5本に変わることが判明。
直径と使う指の位置が合った溝がついたつまみは、使い心地の評価が高いことも分かりました。
●自助具の作成にも役立つかも
今回の研究は商品設計などに活用するために行われました。
どのような道具を使う時に人がどういった動きをしやすいのかを知っておくのは上肢のリハビリで使える知識かもしれません。
また、自助具を作る時に患者さんや利用者さんの動きだけでなく、一般的な傾向を知っておくと作成に役立てられるかもしれませんね。
いかがだったでしょうか?
実はこの研究は1998~1999年にされたものだったそうで、古い論文でもどのように注目されるか分かりません。
リハビリ分野でも論文を出しておくと後で評価されるなんていうこともあるかもしれませんね。
それではまた次回の記事でお会いしましょう。