こんにちは。
近年は言われ続けている早期リハビリの効果。
早くからリハビリを開始することが患者さんの予後にとっていい場合が多いのは周知の事実かと思います。
しかし、早期から始めることは身体面、認知面、精神面どのような部分に効果的か分けて考えたことはあるでしょうか。
●文献
今回の文献は「Effects of Mobilization within 72 h of ICU Admission in Critically Ill Patients: An Updated Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials(重症患者におけるICU入室後72時間以内の移動の効果: ランダム化比較試験の系統的レビューとメタアナリシスの更新)」。
発表は英論文でされていますが、日本人の方々が研究された研究です。
この研究はICU入室後72時間以内にリハビリテーションを開始することが、長期的な身体的、認知的、精神的健康に及ぼす影響を明らかにすることを目的として研究されました。
かねてより、リハビリは早期からが効果があると言われており、この研究の前にもICU入室後1週間以内のリハビリテーションが重症患者の身体機能に有益であることが示されています。
そんな中、元々の研究データに、2019年4月~2022年11月に投稿されたランダム化比較試験による研究データを追加し、早期リハビリの身体的、認知的、精神的な影響への効果を検証しました。
ではその結果はどうだったのでしょうか。
●身体機能面などは効果あり
研究の結果は筋力と認知機能には効果ありというものが出ました。
一方で精神面への効果は限定的とされています。
精神面に関しては客観的な評価が難しく、バイアスが生まれてしまう事も効果があるかどうか精査することへの妨げにもなったようです。
また、ICUで厄介な集中治療後症候群(PICS)への効果も合わせてこの研究では調べています。
●PICSへの効果は…
まず、PICSとはICU 在室中あるいは ICU 退室後,さらには退院後に⽣じる⾝体障害・認知機能・精神の障害をさし、家族が陥ることもあります。
特にリハビリでは重症疾患の罹患後に左右対称性の四肢のびまん性の筋⼒低下を呈する ICU-acquired weakness(ICU-AW)を経験した人も少なくないかもしれません。
やっかいなPICSですが、早期リハが発現を抑えられるかというと、こちらも「予防する可能性がある」という結果に留まっています。
まだ、はっきりしていない部分もありますが、筋力や認知面には効果的な早期リハビリ。
精神面などに関しては私たちの関わりが重要になるのかもしれません。
自分の関わりはどうしたところで有益なのか。
考えながらリハビリしていきたいですね。
それではまた次回の記事でお会いしましょう。