作業療法つぶやきブログ

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現役作業療法士(OT)のブログ。不定期週2回12時更新。カテゴリー一覧はスマホの方はページ下部へどうぞ。

【リハビリ】実績指数とは 前編

こんにちは。

 

本日は実績指数について取り上げます。

回復期リハビリテーション病棟・病院で働いている皆さんは実績指数を気にしながら仕事をしていると思います。

しかし、少しややこしい部分もあるので、前半部分の本日は導入された経緯やどのようなものなのかについて取り上げていきます。

リハビリ病棟や病院で働いていない方々や医療従事者でない方も国が何を求めているのかということが見えるため、最後までご覧いただければと思います。

 

●実績指数導入の経緯

まず、回復期リハビリテーション病棟でのリハビリは1日3時間(9単位)まで可能です。

リハビリ職でない方は「単位」という言葉になじみがないと思いますが、1単位は20分となっているので、9単位=3時間となるわけですね。

何気なく3時間リハビリを行っているところも多いと思いますが、発症して間もない時期は原則的に1日2時間(6単位)です(条件次第では3時間も可能)。

回復期リハビリテーション病棟は退院までに一番集中してリハビリを行う時期なので、リハビリを行える時間が長く設定されています。

しかし、「2時間と3時間で本当に効果の差があるのか」ということが議論されていました。

こちらの図は1日2時間と3時間を比較した図です。

f:id:rihaot:20210424232148p:plain

 

とある研究では2時間(青)と3時間(オレンジ)のリハビリで効果の差がなかったというものがありました。

効果があるとする研究結果の方が多いのですが、否定的な研究結果もありました。

そうした中できちんと結果を出すところには相当の報酬を支払い、結果が出ずにだらだらとリハビリを行うところには余分なお金を支払わないとする動きが起こり、実績指数が誕生しました。

 

また、回復期リハビリテーション病棟の医療費は2010年5563億だったものが、2015年は8173億円と大幅に上昇しています。(下記図参照)

f:id:rihaot:20210424235543p:plain

増え続ける医療費に待ったがかかった形ですね。

では、実績指数とはどのように計算していくのか見ていきたいと思います。

 

●実績指数の計算方法

実績指数に使用する数値はこのような数字になります。

運動FIM利得(機能的自立度評価法の運動項目限定、食事・排泄・入浴など日常生活動作がどの程度行えるのかを1~7点で表し、退院時の点数から入院時の点数をひいたもの)

入院(在棟)日数(回復期リハビリテーション病棟入院時を1日目とする)

疾患ごとの算定上限日数(例えば骨折であれば90日、脳卒中なら150日)

 

この3つの数字を組み合わせて計算します。

実績指数=運動FIM利得÷(入院日数÷疾患ごとの算定上限日数)

 

数字がないと分かりにくいので、例を上げます。

例えば、

脳梗塞

・FIM利得:20点

・入院日数:75日

・疾患ごとの算定上限日数:150日

実績指数=20÷(75÷150)⇒40

このようになります。

 

回復期リハビリテーション病棟は様々な基準で1日当たりに患者さんに支払ってもらう入院料というものがあるのですが、入院料が一番高い、入院料1では実績指数40以上、入院料3では35以上など基準が決まっています。

この数値を満たせないと減算となるので、病院としては漫然とリハビリを提供するだけでなく、結果を残していかないといけなくなりました。

 

計算式上は国が求めているのは

短い入院期間で日常生活動作を自立に近づける・介助量を減らす

ということです。

 

繰り返しますが、漫然とした結果を出せないリハビリには国は必要最低限しかお金をかけないということです。

リハビリ職はしっかりと今後も結果を出すことが求められます。

明後日4月28日公開の後編では導入後どうなっていったのか、今後の流れについて取り上げます。

  

明日は不定期更新として1回目のコロナワクチン接種からの経過を上げたいと思います。

興味のある方はぜひご覧になってください。

ではでは。