こんにちは。
今回は新型コロナウイルス重症患者の集中治療室からリハビリが実施できた割合についてご紹介します。
変異株が猛威を振るい始めた新型コロナウイルスですが、寝ている期間に筋力低下なども生じるため、早期からの関わりも重要となってきます。
今回はなぜ早期からの関わりが大切なのか、早期から行われた割合、早期からリハビリが行えなかった理由について取り上げます。
●なぜ早期からの関わりが大切なのか
新型コロナウイルスが重症になると急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、敗血症や敗血症性ショック、腎不全、肝不全、心不全を含む多臓器不全を合併します。
そうなると、ICU に入院することとなり、通常、人工呼吸管理が必要となると、以下のような後遺症が生じやすいとされています。
「筋力や身体機能の低下、呼吸機能低下、認知機能低下、嚥下機能低下、コミュニケーション障害、せん妄」
こうした後遺症が発生しないようにするために、日本集中治療医学会は感染対策をしながら、「リハビリテーション専門職が呼吸管理の支援、早期回復を促進するための機能の維持・改善に関わること」を推奨しています。
また、人工呼吸器をつけている患者だけでなく、人工呼吸器をつけていない重症患者も、身体機能低下、呼吸機能障害、心理社会的問題を生じる可能性があるため、早期からの介入対象としています。
●早期から行われた割合
では、その程度の割合で早期からのリハビリが行われたかというと、
「55.9%」
約45%の医療機関が早期からのリハビリを見送っています。
半数近くが見送っているんですね。
では、見送った理由はなんなのか見ていきます。
●早期からリハビリが行えなかった理由
一番多かった回答(38.5%)は
「新型コロナウイルスの患者にはリハビリを行わない方針だった」
二番目に多かった回答(17.3%)は
「リハビリができる専門のスタッフがいなかったから」
となっています。
新型コロナウイルスは病態がよく分かっていないため見送った施設も多かったようです。
新型コロナウイルスの対応は難しく、日本集中治療医学会では「新型コロナウイルス患者を担当したリハビリテーション専門職が、同時に新型コロナウイルスでない患者を担当することは推奨できません」としています。
感染力が高いので、推奨できないというわけですね。
そうするとICUに専属のリハビリ職を配置せざるを得なくなり、他の患者さんへの対応が追い付かなくなる可能性があります。
また、ICU担当スタッフへの身体的・精神的負担も大きくなるため、実施しない病院が多いようです。
仮にコロナウイルスが院内で0件になっても感染リスクが高い、最終接触から 14 日間の健康状態のモニタリングと一般診療への就業制限が必要とも言われており、その間人員が削減されるので、積極的には動きにくい病院が多いようです。
経営としても痛手にはなりますしね。
日本集中医学会では
「リハビリテーション治療実施者が感染しない、させないことが大前提となり、患者の利益(ベネフィット)と感染の可能性(リスク)を勘案して医師が判断して下さい」
とも述べています。
早期からの介入は大切ですが、リハ科で蔓延したり、他科に蔓延させてしまってはどうしようもありません。
関わるかどうか考える場合はうまく患者の利益と感染の可能性を天秤にかけて決めていきましょう。
関わる場合は感染予防をして自分を守ることも大切に!
ではでは。